B型の工賃だけで生活できない?収入を増やす5つの方法【2026年】
「B型の工賃だけじゃ、とても生活できない…」
これは事実です。就労継続支援B型の全国平均工賃は月約17,000円。一人暮らしの生活費はもちろん、実家暮らしでも自分のお小遣い程度にしかなりません。
でも、工賃だけが収入のすべてではありません。障害年金・生活保護・各種手当・割引制度を組み合わせることで、B型に通いながら生活を成り立たせている方は大勢います。
この記事では、工賃以外の収入源と、具体的な家計モデルを紹介します。
B型の工賃の現実
まず、数字で現実を確認しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 全国平均月額工賃 | 約17,000円(令和4年度) |
| 時給換算の目安 | 200〜300円程度 |
| 事業所による差 | 月5,000円以下〜月30,000円以上まで幅がある |
| 最低賃金の適用 | なし(B型は雇用契約がないため) |
月17,000円では、一人暮らしの家賃すら払えません。この現実を踏まえた上で、「工賃+◯◯」で生活を組み立てるのがB型利用者の基本戦略です。
現場で見ていると、B型の工賃だけで生活している人はほぼいません。障害年金(月約6.6万円)+B型工賃(月1〜2万円)で月8万円前後、さらにグループホームの家賃補助を受けて生活している方が多いです。お金の管理が難しい利用者さんには、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業(お金の管理を手伝ってくれるサービス)の利用を勧めたり、グループホームの管理者から「このままだと生活が厳しくなる」と率直に伝えることもあります。
収入を増やす5つの方法
方法1:障害年金を受給する
もっとも重要で、もっとも見落とされがちな収入源です。
| 等級 | 月額(令和6年度) |
|---|---|
| 障害基礎年金1級 | 約82,000円 |
| 障害基礎年金2級 | 約66,000円 |
| 障害厚生年金(元会社員) | 等級と報酬月額によって異なる |
障害基礎年金2級でも月約66,000円。工賃17,000円と合わせると月約83,000円になります。
受給のポイント:
- 初診日から1年6ヶ月経過後(障害認定日)から請求可能
- 精神障害の場合、2級の目安は「日常生活に著しい制限がある」状態
- B型に通所していることは、年金の等級判定に不利にはならない(就労状況は考慮されるが、B型は「福祉的就労」として区別される)
- 手帳の等級と年金の等級は連動しない(手帳2級でも年金2級になるとは限らない)
まだ請求していない方へ: 障害年金は自分で請求しないともらえません。「自分は対象じゃないかも」と思い込んでいる方も多いですが、B型を利用している方の多くは受給対象になりえます。市区町村の窓口か、年金事務所に相談してみてください。
方法2:生活保護を利用する
「生活保護は最後の手段」というイメージがありますが、B型利用者で障害年金+工賃でも生活費に届かない場合は、正当に利用できる制度です。
生活保護の特徴:
- 最低生活費(住む地域・年齢で決まる)から収入を差し引いた分が保護費として支給される
- B型の工賃は「収入認定」されるが、基礎控除(月15,000円程度) があるため、全額差し引かれるわけではない
- 障害年金を受給している場合も、年金額が最低生活費を下回れば差額が生活保護として支給される
- 医療費が無料になる(医療扶助)
計算例(単身・東京23区の場合):
最低生活費:約130,000円/月
─ 障害年金2級:66,000円
─ 工賃(基礎控除後):2,000円
= 生活保護費:約62,000円
合計で月約130,000円の生活費が確保できます。
「恥ずかしい」は制度の誤解です。 生活保護は憲法で保障された権利であり、必要な方が使うべき制度です。B型利用中に生活保護を受けている方は全国に多数います。
方法3:特別障害者手当を申請する
常時特別の介護を必要とする在宅の重度障害者に支給される手当です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 月約28,840円(令和6年度) |
| 対象 | 20歳以上の在宅の重度障害者 |
| 所得制限 | あり(ただし低所得の方は該当しやすい) |
精神障害1級で、日常生活に常時介護が必要な状態であれば対象になる可能性があります。対象かどうかは市区町村に確認してください。
方法4:各種割引制度を活用する
直接の「収入増」ではありませんが、支出を減らすことで実質的に使えるお金が増えます。
| 割引・免除の例 | 内容 |
|---|---|
| NHK受信料 | 住民税非課税世帯は全額免除 |
| 携帯電話料金 | ドコモ・au・ソフトバンクの障害者割引(月1,000〜1,900円割引) |
| 水道料金 | 自治体によって基本料金免除あり |
| 公共施設(美術館・動物園など) | 多くが手帳提示で無料または半額 |
| 鉄道・バス | 精神障害者もJR・私鉄の運賃割引対象に(2025年4月〜) |
| 映画館 | 1,000円(付き添い1名も同額)が多い |
| 住民税 | 障害者控除(所得控除26〜30万円) |
| 所得税 | 障害者控除(所得控除27〜40万円) |
| 自動車税 | 重度障害者は減免あり(等級・自治体による) |
→ JR割引の詳細は 精神障がい者のJR鉄道運賃割引制度
方法5:工賃の高い事業所を選ぶ(または転所する)
同じB型でも、事業所によって工賃は大きく違います。
| 工賃水準 | 事業所の例 |
|---|---|
| 月5,000円以下 | 軽作業中心で生産性の低い事業所 |
| 月10,000〜20,000円 | 一般的なB型事業所 |
| 月30,000円以上 | 受注業務が安定している事業所、IT系・Web系の作業がある事業所 |
| 月50,000円以上 | 全国でも一部の高工賃事業所 |
今の事業所の工賃が低い場合、転所(別の事業所への切り替え)は可能です。見学・体験を経て、自分に合った事業所に移ることは正当な権利です。相談支援専門員に相談してみてください。
現実的な家計モデル
モデル1:障害年金2級+B型・実家暮らし
| 収入 | 金額 |
|---|---|
| 障害年金2級 | 66,000円 |
| B型工賃 | 17,000円 |
| 収入合計 | 83,000円 |
| 支出 | 金額 |
|---|---|
| 家に入れるお金 | 30,000円 |
| 携帯・通信費 | 3,000円 |
| 交通費 | 5,000円 |
| 日用品・衣類 | 5,000円 |
| 医療費(自立支援医療で1割) | 2,000円 |
| 自由に使えるお金 | 38,000円 |
実家暮らしなら比較的余裕のある生活が可能です。
モデル2:障害年金2級+B型+グループホーム
| 収入 | 金額 |
|---|---|
| 障害年金2級 | 66,000円 |
| B型工賃 | 17,000円 |
| 家賃補助(特定障害者特別給付費) | 10,000円 |
| 収入合計 | 93,000円 |
| 支出 | 金額 |
|---|---|
| グループホーム家賃 | 30,000円 |
| 食費(朝夕提供・昼は工賃から) | 25,000円 |
| 共益費・光熱費 | 10,000円 |
| 携帯・通信費 | 3,000円 |
| 医療費 | 2,000円 |
| 日用品 | 3,000円 |
| 支出合計 | 73,000円 |
| 自由に使えるお金 | 20,000円 |
グループホームの場合、家賃補助(最大10,000円/月)を利用すると負担が軽減されます。
→ グループホームの選び方は グループホーム見学チェックリスト
モデル3:障害年金2級+B型+生活保護・一人暮らし
| 収入 | 金額 |
|---|---|
| 障害年金2級 | 66,000円 |
| B型工賃 | 17,000円 |
| 生活保護費(差額) | 約47,000円 |
| 収入合計 | 約130,000円 |
生活保護を利用することで、一人暮らしでも安定した生活が可能になります。住宅扶助(家賃分)は地域によって上限が異なりますが、概ね40,000〜53,700円程度が支給されます。
「生活できない」と感じたらやるべきこと
ステップ1:障害年金を請求しているか確認する
B型利用者で年金を受給していない方は、まず年金事務所に相談。初診日の確認から始めましょう。社会保険労務士に依頼する方法もあります(成功報酬型が多い)。
ステップ2:使える制度を全部洗い出す
市区町村の障害福祉窓口で「自分が使える制度を全部教えてほしい」と伝えてください。自治体独自の手当や助成がある場合もあります。
ステップ3:生活保護の相談をする
年金+工賃でも生活費に届かない場合は、生活保護を検討してください。福祉事務所(市区町村の生活保護窓口)に相談に行きます。
ステップ4:工賃の高い事業所への転所を検討する
今の事業所の工賃が低い場合、他の事業所を見学してみてください。転所は相談支援専門員と相談しながら進められます。
ステップ5:A型への切り替えを検討する
体調が安定してきたら、A型への切り替えも選択肢です。A型なら最低賃金以上の給料が出るため、収入が大幅に増えます。
よくある質問
Q. B型の工賃は今後上がる?
全国平均は年々微増していますが、劇的な増加は期待しにくい状況です。工賃向上は個々の事業所の経営努力に大きく依存します。
Q. 工賃が上がると障害年金は減る?
B型の工賃で障害年金が直接減額されることはありません。ただし、年金の更新(再認定)時に「就労状況」として考慮される可能性はあります。B型の工賃は「福祉的就労」として一般就労とは区別されるため、工賃が上がったこと自体で等級が下がるケースは稀です。
Q. 工賃が上がると生活保護費は減る?
はい。ただし基礎控除(月15,000円程度)があるため、工賃がそのまま保護費から差し引かれるわけではありません。工賃が増えた分の一部は手元に残ります。
Q. アルバイトと併用できる?
原則できません。B型は一般就労が難しい方向けのサービスです。アルバイトができるなら、B型の利用対象外と判断される可能性があります。
まとめ
| 収入源 | 月額の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| B型工賃 | 約17,000円 | 事業所による差が大きい。転所も検討 |
| 障害基礎年金2級 | 約66,000円 | 未請求なら今すぐ相談を |
| 生活保護 | 差額分を支給 | 年金+工賃で足りない場合は正当な権利 |
| 特別障害者手当 | 約28,840円 | 重度障害者が対象。要確認 |
| 各種割引 | 月数千円の節約 | NHK免除・携帯割引・交通費割引など |
「B型の工賃だけで生活する」必要はありません。 使える制度を全部組み合わせて、自分なりの家計モデルを作ることが大切です。一人で抱え込まず、市区町村の窓口・相談支援事業所・事業所スタッフに相談してみてください。
参照元:
- 厚生労働省「令和4年度工賃(賃金)の実績について」
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件」
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「特別障害者手当について」
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