就労移行支援は「意味ない」「やめとけ」って本当?現場スタッフが正直に答えます
「就労移行支援 意味ない」「就労移行支援 やめとけ」
こう検索しているあなたは、就労移行支援の利用を検討しているけど、ネガティブな評判が気になって踏み出せない状態ではないでしょうか。
先に結論を言います。
就労移行支援そのものが「意味ない」のではなく、「自分に合わない事業所を選んでしまった場合に意味がなくなる」が正確です。
この記事では、福祉の現場で働くスタッフの視点から、「意味ない」と言われる理由を正直に解説し、その上で「どうすれば失敗しないか」をまとめました。
「意味ない」「やめとけ」と言われる5つの理由
ネット上のネガティブな声を分析すると、大きく5つの理由に集約されます。どれも一理あるので、正直に書きます。
理由1:訓練内容が簡単すぎて退屈
事業所のプログラムは、さまざまな状態の利用者が参加できるように設計されています。長期間のブランクがある方、社会経験が少ない方も含めた内容になるため、すでにある程度のビジネススキルを持っている人には物足りなく感じることがあります。
「名刺交換の練習なんて今さらやる意味あるの?」という不満はよく聞く話です。
現場から見た実態: これは事実です。ただし、事業所によってレベルはまったく違います。IT特化型の事業所ではAIやデータサイエンスを学べるところもあるし、ビジネススクールに近い内容の事業所もある。「就労移行支援=簡単な訓練」というイメージは、一部の事業所の話です。
理由2:2年間の期限がプレッシャーになる
就労移行支援の利用期間は原則2年間。この期限内に就職を目指す必要があります。
体調が安定しない時期に「あと◯ヶ月しかない」というプレッシャーを感じると、焦りが生まれて逆効果になることがあります。
知っておきたいこと: 自治体の審査を経て、最大1年間の延長が認められるケースもあります。また、2年で就職できなかった場合は就労継続支援A型やB型に切り替えるという選択肢もあります。「2年で人生が終わる」わけではありません。
理由3:利用中はアルバイト禁止で生活が苦しい
就労移行支援を利用している間は、原則としてアルバイトができません。訓練期間であり、工賃や給料も出ません。
収入がゼロの状態で通所を続けることが、経済的に大きな負担になる方もいます。
対処法はある: 失業保険(雇用保険の基本手当)を受給しながら通所する方法、障害年金との併用、生活保護との併用など、収入を確保する方法は複数あります。事業所によっては交通費やランチの補助が出るところもある。「お金がないから無理」と諦める前に、使える制度を確認してみてください。
理由4:スタッフの質にバラつきがある
就労移行支援のスタッフには、特定の国家資格が必須ではありません。社会福祉士や精神保健福祉士の有資格者がいる事業所もあれば、福祉未経験のスタッフだけで運営されている事業所もあります。
障害への理解が浅いスタッフに的外れなアドバイスをされると、「この人に相談しても意味がない」と感じてしまうのは当然です。
現場から見た実態: これも事実です。だからこそ見学時にスタッフの対応を自分の目で確認することが重要。見学で感じた違和感は、通所後も消えません。
筆者が見聞きした中で印象的だったのは、あるB型事業所の所長が「私は専門の作業療法士だから」と資格を盾にして、利用者さんの行動をかなり制限していたケースです。専門職であること自体は良いことですが、利用者さんの主体性を奪うような支援は本末転倒です。「この事業所、なんかおかしい」と感じたら、その直感は大体正しいです。相談支援専門員やお住まいの市区町村の障害福祉課に相談してください。
理由5:就職できるとは限らない
厚生労働省のデータによると、就労移行支援から一般就労への移行率は約57%(令和4年度)。つまり約4割の人は2年以内に就職に至っていないということです。
「就労移行支援に通えば就職できる」という期待が大きすぎると、現実とのギャップに失望します。
数字の読み方: 57%という数字は「2年以内に一般就労した人の割合」。ただしこの中には、途中でA型やB型に切り替えた人、体調悪化で中断した人も含まれるため、「就職活動を最後まで続けた人の就職率」はもっと高いとされています。また、事業所ごとの就職率は大きく異なり、80%以上の事業所もあれば30%以下のところもある。平均値に騙されないこと。
「意味ない」が本当になるケース
正直に言うと、就労移行支援が合わない人もいます。以下に当てはまる場合は、別の選択肢を検討した方がいいかもしれません。
すでに就職活動を自力で進められる人。 履歴書が書ける、面接を受けられる、求人を探せる。この状態なら、ハローワークの障害者窓口や転職エージェントを直接利用する方が効率的です。
専門スキルだけを身につけたい人。 プログラミングやデザインのスキルを学びたいだけなら、職業訓練校やオンラインスクールの方が、カリキュラムが体系的で効率が良い場合があります。
体調が極めて不安定な人。 週3〜4日の通所が難しい状態なら、まずは医療(デイケアやリワーク)で体調を安定させることが優先。就労移行支援はその後でも遅くありません。
逆に「意味がある」ケース
以下に当てはまる人は、就労移行支援を活用する価値があります。
ブランクが長く、働くこと自体が不安な人。 「毎日決まった時間に起きて外に出る」という基本から立て直したい人にとって、就労移行支援は安全な練習の場になります。
自分の障害特性を理解し、対処法を身につけたい人。 自分の得意・不得意を把握し、「こういう配慮があれば働ける」と説明できるようになることは、就職後の定着率に直結します。
一人で就職活動を進めるのが難しい人。 履歴書の書き方、面接での障害の伝え方、企業との調整など、サポートがあることで就職の成功率が上がります。
障害者雇用での就職を初めて目指す人。 障害者雇用の独特な選考プロセス(配慮事項の伝え方、実習制度など)に詳しいスタッフのサポートがあると心強い。
失敗しない事業所の選び方
「意味ない」を「意味ある」に変える最大の鍵は、自分に合った事業所を選ぶことです。
① 就職実績を数字で確認する
「就職率」と「定着率」の両方を聞いてください。就職率80%でも定着率が低ければ、ミスマッチな就職をさせている可能性があります。
具体的に聞くべきこと:
- 過去2年間の就職者数
- 就職後6ヶ月・1年の定着率
- どんな業種・職種への就職が多いか
注意: 「就職実績は非公開です」という事業所は避けた方が無難です。実績に自信がある事業所は、聞けば教えてくれます。
② 訓練内容が自分のレベルに合っているか
「簡単すぎて退屈」も「難しすぎてついていけない」も、どちらもミスマッチです。
- ビジネスマナーなど基礎から学びたい → 一般型の事業所
- IT・プログラミングを学びたい → IT特化型の事業所
- 自分の障害に特化した訓練を受けたい → 障害別コースがある事業所
③ 必ず複数見学してから決める
これが最も重要です。 1ヶ所だけ見て決めると、比較対象がないため「こんなものか」と思い込んでしまいます。最低2〜3ヶ所は見学してください。
見学で確認すべきポイントは、こちらの記事に詳しくまとめています。 → 就労移行支援の見学で何を聞く?確認すべき質問リスト
④ 口コミだけで判断しない
ネットの口コミは「不満がある人ほど書き込む」傾向があります。高評価も低評価も、あくまで他の人の体験です。自分の目で見て、自分の感覚で判断してください。
「やめとけ」と言われて迷っている人へ
知恵袋やSNSで「やめとけ」と書いている人の多くは、事業所選びで失敗した人です。「就労移行支援という制度が悪い」のではなく、「合わない事業所に通ってしまった」結果として不満が生まれています。
逆に言えば、自分に合った事業所を見つけられれば、就労移行支援は強力な就職の武器になります。
大切なのは:
- 「就労移行支援は意味ない」を鵜呑みにしないこと
- 「就労移行支援は素晴らしい」も鵜呑みにしないこと
- 自分の目で見て、自分で判断すること
まずは見学に行ってみてください。見学は無料で、行ったからといって通う義務はありません。「やめとけ」かどうかは、自分で確かめてから決めても遅くありません。
全国展開している主要な事業所の特徴を比較した記事も用意しています。見学先を選ぶ参考にしてください。 → 就労移行支援おすすめ6選|選び方と比較ポイントを解説
よくある質問
Q. 就労移行支援に通ったら絶対就職できる?
絶対ではありません。全国平均の就職率は約57%。ただし事業所によって大きく異なり、80%以上の事業所もあります。就職率は見学時に必ず確認してください。
Q. 途中で辞めたくなったら辞められる?
辞められます。利用の継続は義務ではありません。辞めたい理由をスタッフに伝えれば手続きを案内してもらえます。事業所を変更することも可能です。
Q. 2年で就職できなかったらどうなる?
就労継続支援A型やB型に切り替える選択肢があります。自治体の審査で延長が認められるケースもあります。 → 就労継続支援A型とは? → 就労継続支援B型とは?
Q. お金がなくても利用できる?
利用料はほとんどの場合無料(住民税非課税世帯・生活保護世帯は0円)。交通費やランチ補助がある事業所もあります。
Q. 通所が体力的にきつい場合は?
在宅訓練(リモート)に対応している事業所もあります。manabyなどが代表的です。週3日からスタートして徐々に増やす方法もあります。
まとめ
| 「意味ない」と感じる原因 | 対処法 |
|---|---|
| 訓練が簡単すぎる | 自分のレベルに合った事業所(IT特化型等)を選ぶ |
| 2年の期限がプレッシャー | 延長制度やA型・B型への切り替えを知っておく |
| 利用中の収入がゼロ | 失業保険・障害年金・生活保護・交通費補助を活用 |
| スタッフの質が低い | 見学でスタッフの対応を自分の目で確認する |
| 就職できるとは限らない | 就職率・定着率を事業所ごとに確認。平均値に騙されない |
就労移行支援が「意味ない」かどうかは、事業所選びで決まる。 ネットの口コミではなく、自分の目で確かめてから判断してください。
参照元:
- 厚生労働省「障害者の就労支援について」
- 厚生労働省「令和4年度 社会福祉施設等調査の概況」
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